I. コンクリートのお悩み

1.色ムラ

TOLEDOに寄せられるコンクリートについてのご相談の多くは、「色ムラ」と「ひび割れ」に関するものです。色ムラは、打設した生コンクリートの硬化のスピードが、部分部分によって異なるために生じます。均一な条件下で生コンが乾いていけば、色ムラは最小限に抑えられますが、屋外では太陽光や湿度、地中の水分量といった様々な外的要因が作用するので、どうしてもコンクリートが硬化していく過程に差が生じてしまいます。そのため、コンクリートの色ムラを無くす技術は未だ確立されていないのです。(強度に影響はありませんのでご安心ください。)

2.ひび割れ

駐車場や玄関の土間、コンクリート塀などにできるひび割れ。その中には幅0.3mm, 深さ5mm未満の「ヘアクラック(hair=髪の毛)」と呼ばれる小さくて細いものから、幅0.3mm, 深さ5mm以上「構造クラック」と呼ばれる大きく太いものまで様々なひび割れがあります。ヘアクラックは強度に影響はありませんが、構造クラックは崩壊に繋がる恐れがあり危険です。ひび割れの要因は多岐に渡りますが、どうすればひび割れを抑えることができるのでしょうか。主な二つの原因と、それらに対して行うTOLEDOの対策をご紹介したいと思います。

ヘアークラック
構造クラック

II. 「乾燥収縮」によるひび割れ

1.「乾燥収縮」とは?

生コンが乾燥し固まる過程では、蒸発により水分が外へと排出され、その分コンクリート自体が収縮します(乾燥収縮)。この際、コンクリートが乾いた空気や強い日差しに晒されると急速に水分の蒸発が起こり、それに伴いコンクリートが収縮するスピードも速くなります。それにコンクリートが耐え切れなくなり、ひび割れが生じてしまうのです。

乾燥収縮によるひび割れ

2.「スランプ」を下げるのがカギ

乾燥収縮によるひび割れを防ぐには、低スランプのコンクリートを使うのが一番です。「スランプ」は硬化前のコンクリートの軟らかさを示す数値で、値が低いほど水分量が少なく硬いコンクリートであることを意味します。(*スランプは必ずしも低ければ良いという訳ではなく、気候によって最適なスランプは変わります。)
できるだけ低スランプのコンクリートを用いるべきですが、注意しなければならないのは低スランプのコンクリートは扱いが難しく、技術を要するということです。水分量が少なく乾燥し固まるまでが早いため、素早く作業を行わなければなりませんし、粘度が高いので通常よりも時間を要し、技術が伴わないと作業が難しくなります。
当店では、気象状況や現場スタッフの技術力などを加味し、できる限りスランプを低くして作業を行ってきましたが、今後はより低スランプのコンクリート(スランプ値:12以下)を使用していきます。

III. 「引っ張りの力」によるひび割れ

1.コンクリートは「引っ張りの力」に弱い

コンクリートは「圧縮に強く引っ張りや曲げには弱い」性質を持っています。「引っ張りや曲げ」と言われてもイメージがしづらいかと思いますので下の図をご覧ください。

出典:株式会社 富士ピー・エス https://www.fujips.co.jp/technology/pc.html

図のように、物体に何らかの負荷がかかると、どんなに硬い物であってもそこには曲がろうとする力が働きます。これが引っ張りや曲げの力であり、コンクリートはこの力に弱いのです。この弱点を克服するため、コンクリートの中に鉄筋が入れられます。引っ張りや曲げに強い鉄筋がコンクリートの内部に通ることにより、コンクリートの弱点が補われ非常に頑丈になります。これが鉄筋コンクリートと呼ばれるものです。

2. 鉄筋の大きな弱点

コンクリートの弱点を克服した鉄筋コンクリート。「これでひび割れの心配なし!」とはいかないのがコンクリートの難しさであり面白さです。
鉄筋の一番の敵、それは「錆び」。錆びは、鉄筋の体積をなんと2.5倍に膨張させてしまいます。コンクリートの内部で鉄筋が大きく膨らむことにより、表面にひび割れが生じてしまうのです。
打設したばかりのコンクリートはアルカリ性であるため、鉄筋に錆びが生じることはありません。しかし、酸性雨や排気ガス等の空気中の不純物や酸素がコンクリートの表面から吸収され、コンクリートはだんだんと中性化していきます。長野県のように雪の降る地域であれば、冬に車のタイヤに付着する融雪剤(塩カル)なども、中性化を早める一つの原因となっています。中性化によってコンクリート自体がもろくなるわけではないですが、これにより鉄筋の腐食が始まり、その結果ひび割れが発生します。一度ひびができると、そこから雨水や汚れが入り込み鉄筋の腐食を加速させるため、錆びはどんどん膨張しコンクリートの耐久性を下げてしまうのです。

3.錆びない鉄筋が登場!

亜鉛メッキ鉄筋(左)と通常の鉄筋(右)
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亜鉛メッキ鉄筋

以上の通り、鉄筋はコンクリートに必要不可欠でありながらも、コンクリートの強度を下げる一因にもなってしまうという悲しいジレンマを抱えています。この難題を解決してくれるのが、表面に亜鉛をコーティングした亜鉛メッキ鉄筋です。亜鉛の効果により、この鉄筋は通常の鉄筋よりも錆びません。亜鉛が溶けるスピードは1年で1ミクロン(1ミクロン=1/1000mm)、当店の鉄筋に施す亜鉛メッキの厚さは国内最大規格にあたる80ミクロンですので、単純計算で80年の間は鉄筋が保護されていることになります。

通常の鉄筋を亜鉛に浸している様子。実際に工場へ鉄筋を持参し、亜鉛メッキ加工を施してもらいます。

この錆びない亜鉛メッキ鉄筋をコンクリートに用いることで、内部で鉄筋が錆びることによるダメージを減らすことができるため、通常の鉄筋を用いた時よりも格段にひび割れを起こしづらく、長持ちするコンクリートになるのです。
そしてこの度TOLEDOでは、ベースコンクリートとブロック積みに使う鉄筋はすべて、この亜鉛メッキ鉄筋を使用することを決定しました。また、こちらはオプションとなりますが、土間コンクリートにも亜鉛メッキ鉄筋を使用する施工プランをご準備いたしました。通常の鉄筋もお選びいただけますので、ぜひご検討ください。

以上、TOLEDOからのお知らせでした。詳細につきましては、当店までお気軽にお問い合わせください。